
現代のBtoBビジネスにおいて、BtoBビジネスの勝敗を分けるのは、情報の正確さと初動のスピードです。しかし、多くの企業では「交換した名刺が営業担当者のデスクに眠っている」「イベントで集めた名刺の入力が追いつかず、フォローアップが遅れる」といった課題を抱えています。
こうした課題を解決し、営業・マーケティングの効率化を劇的に進める手段として、現在非常に注目されているのが、世界シェアの高いCRM(顧客関係管理)プラットフォームの「HubSpot」と、名刺管理プラットフォームの「Sansan」の連携です。本記事では、HubSpotとSansan連携のメリット、活用シーンを解説します。

目次
HubSpotとSansanとは
HubSpotのSansan連携の概要
HubSpotとSansanを連携させるメリット
HubSpotのSansan連携が活用できる具体的シーン
HubSpotとSansanを連携させる注意点
Sansan連携によってHubSpotをもっと活用しよう
HubSpotとSansanとは
連携の詳細の前に、まずはそれぞれのツールが果たす役割を整理しておきましょう。
HubSpotとは
HubSpotは、マーケティング、営業、カスタマーサービス、コンテンツ管理を統合したクラウド型のCRMプラットフォームです。主な機能には以下のようなものがあります。
- リード管理(CRM):コンタクト情報や企業情報を一元管理
- マーケティングオートメーション(MA):メール配信、フォーム作成、スコアリングなどによる顧客育成(ナーチャリング)
- 営業支援(SFA):商談管理、タスク管理、活動履歴の可視化
Sansanとは
Sansanは、名刺をスキャナーやスマートフォンで読み取るだけでデータ化し、組織全体で共有・活用できるサービスです。
AIと手入力を組み合わせた圧倒的な入力精度を誇ります。また誰が誰と会ったかを可視化することで、組織的な人脈共有を可能にします。
HubSpotのSansan連携の概要
HubSpotとSansanの連携させることで、Sansanでデータ化した名刺情報を、工数をかけずHubSpotのコンタクト(顧客情報)に自動同期させる仕組みのことです。
SansanのデータをCSVファイルなどでHubSpotへ手動連携することは可能ですが、システムによる連携をすることで、データの重複登録を防いだり、Sansan側で設定した「名刺交換日」や「所有者(名刺交換した人)」、「Sansanのタグ情報」(展示会A、重要顧客)など、名刺の紙面に表れない細かな情報もHubSpotへ取り込むことができます。
これらの細かなメタデータがHubSpotに自動で受け渡されることで、**「いつ、誰が、どのイベントで会った人に、どんなアプローチをするか」**というマーケティングシナリオの精度が飛躍的に高まります。
HubSpotとSansanを連携させるメリット
HubSpotとSansanを連携すると、業務効率の向上とデータの精度の担保が可能になります。それによって、具体的には以下のメリットが挙げられます。
データ入力工数の圧倒的な削減
営業担当者にとって、外出先から戻ってきて大量の名刺をCRMに手入力する作業は苦痛であり、生産性を下げる要因です。HubSpotとSansanを連携させることで、少ない工数で必要な情報をHubSpotに格納することができます。
入力ミスの削減とデータ品質の向上
手入力ではどうしても「株式会社」の有無や、漢字の変換ミス、メールアドレスの打ち間違いが発生します。HubSpotとSansanを連携させると、Sansanの高い入力精度をそのままHubSpotで利用できるため、マーケティングメールの不達や、宛名の間違いによる失礼を防ぐことができます。
リードタイムの短縮
名刺交換からCRMへの登録が早まれば、それだけ早くマーケティング施策を実行できます。イベント当日に名刺をスキャンし、その日のうちにHubSpotからお礼メールを自動配信するといったスピード感が実現します。
HubSpotのSansan連携が活用できる具体的シーン
実際にどのような場面でこの連携が力を発揮するのか、具体的なビジネスシーンを見ていきましょう。
営業活動への活用
展示会や往訪で交換した名刺がSansanでスキャンされた瞬間、そのデータはHubSpotへと同期されます。これにより、現場の営業担当者が帰社して報告を待つことなく、インサイドセールス(IS)が即座に架電やメールなどのアプローチを開始できます。
次回アクションの推奨
Sansanから新しい名刺(コンタクト)がHubSpotに同期された際、あらかじめ設定した条件に基づき、担当営業へ「フォローアップ電話」や「御礼メールの送付」といったタスクを自動で割り当てることが可能です。
例えば、名刺の役職が「部長」や「決裁権者」である場合にのみ、優先度の高いフォローアップタスクを即座に作成し、担当者のスマートフォンへ通知を飛ばすといった柔軟な運用も実現できます。これにより、個人の記憶や裁量に頼っていたアナログな営業活動がデジタル化され、展示会や往訪で得た貴重な接点を一刻も無駄にすることなく、最短ルートで商談へと繋げるための強力な営業パイプラインを構築できるようになります。
マーケティング施策の高度化
大規模な展示会で集めた数百枚の名刺をSansanでスキャンすれば、数時間後にはHubSpotで「展示会来場者リスト」が出来上がります。翌日にはターゲットに合わせたセグメントメールを配信できます。
これにより、顧客の記憶が鮮明なうちに、役職や興味関心に最適化されたコンテンツを届けることが可能となり、手動でのリスト作成に数日を費やしていた従来の手法と比較して、メールの開封率やクリック率を飛躍的に向上させることができます。
また、名刺交換というオフラインの接点が即座にオンラインの行動データと紐付くことで、その後のWebサイト閲覧状況や資料ダウンロード履歴を元にした、より高度なスコアリングと精度の高いナーチャリングが実現します。
属性情報に基づくナーチャリング
Sansanから引き継いだ情報を利用して、役職者には「事例集」、担当者には「操作ガイド」といったように、コンテンツを出し分ける高度なリードナーチャリングが可能になります。
これにより、相手のフェーズや課題感に合致しない一律のメルマガ配信を脱却し、HubSpotのセグメンテーション機能をフル活用した、パーソナライズされたアプローチを即座に開始できます。
名刺から得られる正確な役職や部署名という属性情報を、マーケティングの武器へと昇華させることで、検討初期段階にあるリードを効率的に引き上げ、質の高い商談へと繋げるための持続的な関係性を構築できるようになります。
組織全体でのデータ活用
HubSpotを見れば、自社の誰がその企業の誰と名刺交換しているかが分かります。別の担当者が既にアプローチ済みであることを把握できれば、二重アプローチを防ぎ、適切なキーマン紹介を依頼することもできます。
属人化しがちな人脈情報が組織の共有資産へと変わり、部門を跨いだ戦略的なアカウントプランニングが可能になります。社内の繋がりを可視化することで、無駄な接触によるブランド毀損を回避しつつ、過去の接点を最大限に活かした「紹介営業」や「クロスセル」のチャンスを逃さず捉えることができるようになります。
顧客接点の履歴の可視化
Sansan経由の名刺登録がトリガーとなり、その後のメール開封、Webサイト閲覧、商談履歴がすべてHubSpotのタイムライン上に集約されます。
名刺交換という「点」の接点が、その後の検討プロセスの「線」として可視化され、顧客が今どの程度自社に関心を持っているかをリアルタイムで把握できるようになります。
営業担当者は、顧客が特定のサービスページを頻繁に閲覧しているタイミングを見計らって連絡を入れるなど、データに基づいた「勝率の高いアプローチ」を仕掛けることが可能となり、場当たり的な営業から脱却したデータドリブンな顧客対応が実現します。
HubSpotとSansanを連携させる注意点
HubSpotとSansan連携は非常に便利である一方、導入にあたって考慮すべきポイントがいくつかあります。
連携項目のマッピングを慎重に行う
Sansanのどの項目を、HubSpotのどの項目に紐付けるかを事前に設計する必要があります。たとえば、「名刺交換者」とHubSpotの「コンタクト所有者」を同期させる設定は、営業成績を意図せず左右する可能性があるため注意が必要です。
現場の運用ルールを無視して自動同期を行ってしまうと、既存の担当顧客が上書きされたり、インサイドセールスの割り当てが混乱したりするリスクが生じます。
導入初期段階でどのデータをマスター(正)とするのか、また特定のタグが付いた名刺のみを同期対象にするのかといった、自社のビジネスプロセスに最適化されたマッピングルールを慎重に定義することが、ツール連携を形骸化させないための極めて重要なステップとなります。
データ量とライセンスを確認する
Sansanにあるすべての名刺を同期させるのか、特定のタグが付いたものだけを同期させるのかを検討しましょう。不要なデータを大量にHubSpotへ送ると、HubSpot側の課金体系を圧迫する可能性があります。
HubSpotの料金プランはコンタクト数に応じて変動するため、ターゲット外の古い名刺や重複データを無計画に同期させることは、運用コストの増大に直結しかねません。まずは「直近1年以内に接点があった名刺」や「特定の展示会タグが付与された名刺」など、マーケティング活動に即時活用できるデータに絞って同期対象を精査することが、投資対効果(ROI)を最大化させ、健全なCRM運用を維持するための賢明な判断となります。
上書きルールの設定
HubSpotにある情報をSansanの情報で上書きして良いかどうかを検討しましょう。新しくスキャンしたからといって、古い名刺データを既存データに上書きすると、CRM情報の最新化状態が崩れてしまう可能性があります。
たとえば、既にHubSpot側で最新の部署異動や昇進情報が手動で更新されている場合、過去に交換した古い名刺を再スキャンすることでデータが先祖返りしてしまうといった事態を招きかねません。同期を実行する前に、「どの項目をSansan優先にするか」「既存の値がある場合は上書きしないか」といったフィールド単位での優先順位を明確に定め、データベースの信頼性を担保することが、現場の混乱を防ぎ、確実なデータ活用を行うための鍵となります。
Sansan連携によってHubSpotをもっと活用しよう
HubSpotとSansanを連携することによって、名刺交換というアナログな瞬間を、HubSpotという強力なCRMツールにデータとして流し込むことが可能です。これによって営業担当者は事務作業から解放され、より本質的な「顧客との対話」に集中できるようになります。また、マーケティング担当者はより鮮度の高いデータに基づいて、精度の高い施策を実行できるようになります。
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